ワンちゃんにも腎不全という病気があるのは知っていますか?

老犬になるとかかりやすい病気の1つで、なかなか症状が表れないため注意が必要で早期発見が大切です。

腎不全について、基本的なことを書いてみました。愛犬のために早期発見できるよう読んでみてください。

そもそも腎臓とは、ソラマメの形をしている臓器でワンちゃんでは背中の真ん中くらいにあります。

人の腎臓と同じように、体の中のいらなくなった物や余分な水分を尿に変えたり、ホルモンを作ったりと生きていくためには必要不可欠な働きをしている臓器です。

腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることがあるほど症状が出にくいです。

本来の腎臓の4分の1くらいしか働かなくなってからようやく症状が出始めるとも言われています。

そのため、症状が出たころにはかなり重症になっていることが多いです。

腎不全とは

腎不全は急性腎不全(急性腎障害)と慢性腎不全(慢性腎臓病)の2つに分けられます。

どちらも腎臓が働かなくなってしまうことには変わりありません。

急性腎不全は、数時間から数日で腎臓の働きがいっきに低下していきます。そのため、飼い主さんもワンちゃんの異変に気が付きやすいです。対応が早いと治る可能性もあります。

慢性腎不全は、だんだんと少しずつ腎臓が働かなくなっていきます。そして、老犬に多いため加齢が原因だと思ってしまいやすく症状がひどくなってから気づくことが多いです。

症状

○急性腎不全

・多飲多尿
・尿量が減る
・食欲不振
・下痢
・嘔吐
・呼吸が荒い
・尿毒症
・けいれん

○慢性腎不全

・無症状
・多飲多尿
・体重減少
・嘔吐
・食欲不振
・便秘
・尿毒症
・尿が出ない
・元気がなくなる
・けいれん

症状で出てくる尿毒症とは、腎不全の末期の症状です。

腎臓の働きが10分の1程度にまで低下すると尿毒症と診断されることが多いです。

尿毒症の症状は

・食欲不振
・嘔吐
・下痢
・口からアンモニア臭がする
・体重減少
・けいれん
・意識障害

などがあります。

症状の経過

○急性腎不全

急性腎不全の場合、初期の症状で多飲多尿が出ます。

その後、尿が減っていきだんだんと出なくなっていきます。そして、食欲も落ち下痢や嘔吐などの症状も出てきます。

さらに重症になると、尿毒症になり、けいれんや体温が低下していきます。

そのままなにも治療をしないと体の中に毒がたまっていっているため亡くなります。

○慢性腎不全

慢性腎不全では、症状が何もない期間があります。

だんだんと、多飲多尿の症状が出始め、体重減少や嘔吐、食欲不振などの症状が表れてきます。

さらに重症になると、尿毒症やけいれんなどがおこります。

原因

○急性腎不全

・中毒物質の誤飲
・細菌感染
・外傷

などが原因になります。

中毒物質とは、レーズンやゆり、人用の鎮痛剤、農薬、除草剤などの事です。

日常生活でワンちゃんのいたずらで食べられないよう手の届かないところに片付けるようにしましょう。

○慢性腎不全

・老化による機能低下
・遺伝
・自己免疫疾患
・悪性腫瘍

慢性腎不全の場合は日頃の注意では防ぐことが難しいです。

治療

○急性腎不全

早期の治療により治る可能性があります。

一般的にはまず、点滴で体の中の水分のバランスをただしていきます。

また、中毒物質を食べたことが原因の場合は原因の物を吐かせる場合もあります。

ワンちゃんによっては、治療をしても完全には治らず慢性腎不全になったり、亡くなってしまうワンちゃんもいます。

○慢性腎不全

慢性の場合には悪くなった腎臓が元に戻ることはありません。

そのため、少しでも腎臓を守り進行を遅らせるための治療になります。

慢性腎不全の場合は病気を発見したタイミングにより治療方法が異なります。

ワンちゃんの症状に合わせて食事療法や投薬、点滴などを組み合わせて治療をします。

予防

腎不全の予防としては、いつでも新鮮な水が飲めるようにすることです。

また、バランスのとれたフードをあげる事も予防になります。

急性腎不全ではほかにも、原因となる中毒物質を届くところに置かないことやワクチンの接種などで予防することができます。

慢性腎不全の場合は、原因にもあるように予防することはとても難しいです。

そのため、定期的な血液検査や尿検査などの健康診断を行い早期に発見し早い段階で治療を始めることが重要です。

日常生活でできる事

指定されたフードをきちんとあげること、決められた通りに投薬することです。

また、水をたくさん飲み体の中の毒素を出せるようにする必要があるためワンちゃんの好みに合った水を用意してあげるといいでしょう。

場所や温度、入れ物などワンちゃんによっては好き嫌いがある場合もあります。

そして、何か所にも水をおいておいた方が水をよく飲むという研究結果があります。

そのため、今までの場所に加えて他の場所にも新しく水をおいてあげるといいでしょう。

また、それでも飲まない場合にはお肉の出汁などを飲み水に少し入れてあげると喜んで飲んでくれるワンちゃんが多いです。

腎不全は高齢になるとかかりやすくなります。

腎臓は生きていくためにとても大切な臓器です。

一度働かなくなった腎臓は治せないため、早期発見をしなるべく早く治療を始めることが重要です。

多飲多尿などの症状が出たら迷わず病院に行きましょう。